-Queer Power-
変態のチカラ
issue no.1


まず今日は第一回目という事で、僕が個人的に最も影響をうけたパンク・バンド
Tom Robinson Band (TRB) トムロビンソン・バンドの特集をしようと思います。
1978年、パンク・ブーム真っただ中で、バンドとして『ゲイ・パワー』を主張したバンドです。
それまでもイギリスではディヴィッド・ボウイーなど修辞的表現として
ゲイやバイ・セクシャルを公言するミュージシャンはいましたが、彼等ほどハッキリと、
『ゲイ』の主張をテーマにしたバンドは始めてでした。

ではまず参考までに僕がゲイ雑誌『バディ』に書いたレヴューを読んでもらえたらと思います。(少し大きいですが…)


(『バディ』1994年6月号より)

では話の中に出て来た「GLAD TO BE GAY」の訳詞を『ゲイの学園天国!』(宝島社)から。


…なんでいまさら『ゲイ・パワー』なんだ?って思う人もいるかもしれません。
どうしてまた今この事についてページを作ったかというと、
やっぱりそんなに状況は変わってないんじゃないか?っていうのと、
もう一度、『ゲイ・パワー』に限らず、これをきっかけに
それぞれの『セクシュアリティー』について考えて欲しい、と思ったからです。
あなたが完璧に、肉体的にも精神的にも異性のみを愛の対象にする異性愛者であるのなら、
そんな話は関係ないと思われるかもしれません。

でも人間ってそんなにハッキリ肉体も精神も『男』『女』の二つに分けられるものでしょうか??
みなさん充分に分かってらっしゃるように、一人一人に違った顔があるように違ったセクシュアリティーがあるはずです。
男とか女とかはただの名前で、それだけでその人を判断できるものなんかじゃないと思うんです。
僕は書いたように小さい頃から『男女!』『ホモ!』『オカマ!』『変態!』と呼ばれて大きくなりました。
それでホントに悩みました。が、今となっては自分が『変態!』で良かったな!ってホントに思えます。
もし自分が自分のセクシュアリティーについてこんなに考えてこなかったなら、
きっと他の人の事も理解しようとしない人間になってしまっていたかも…と思うからです。

自分のセクシュアリティーがわかってない、自分の事がわかってない人間が
他の様々な人達と同等に接していけるとは単純に、思えません。
もし自分が、さっき書いた完璧な異性愛者で、自分のセクシュアリティになんの疑問も持ったことがなかったら、
それはそれは幸せな事だと思うんです。
みんなと同じ。分かり会えてるし、そんな事、考える必要も、考えた事もないわ。
っていう人も大勢 いると思います。

でも、もしこの世の中のほとんどが『ゲイ』だったり、同性愛者ばかりだとして、
いちいち『ノンケ!』とか『変態!』とか呼ばれる自分を考えた事がありますか?

今ではそれでよかった!とさっき書きましたが、僕はハッキリ言ってものすごく悩みました。
好きになる相手がみんな悩んでしまう。回りはそれを笑いの種にする。
『変態じゃない?』『どっかおかしいんじゃない?』『アイツといるとホモが移る。』
自分が人を好きになる事によって、結局は好きな人を傷つけてしまう。
そんな自分が辛くて何度も自殺も考えました。
ラッキーな事に僕の場合はこうやって触発されるバンドとか映画とか、それによって学んだことによって
自分の行動、人間関係を作れたから言えるのです。
でももしその手段を知らずに、もし知っていてもいろいろな事情で、
一般に迎合せざるを得ない人達もいっぱいいるという事です。
僕は仕事上、中学生の子供と良く話します。ときには性の悩みまで話しが発展する事もあります。
そこで思うのは自分が思ってる程以上に自分の性について悩んでいる子供が多い、という事です。
もしその子が『ゲイ』だとします。でもそれを親に言える子供がどれほどいるでしょうか?
想像しただけで難しいことがわかります。
だって親というのは普通『異性愛者』同士だからです。
よっぽど理解のある親でなければ親も子供も対処できてないのが事実です。
それと大人になって、自分のセクシュアリティーについて悩んでいる人もたくさんいます。
相談も受けます。まず自分がわからない。だから人にもどうすればいいかわからない…。
が、いつも『どうして??』って思います。ただ自分が感じるように、
自分が感じた事が自分なのだから、その通りいけばいいだけなんです。
でもそれがそんなに簡単では無いこともわかります。

人を好きになる事について、肉体的にしろ精神的にしろ、決まりなんてあるのでしょうか?
どういう形であれ人を愛する事は素晴らしいことだと思っているのではないのでしょうか?
なのに、できない。それは自分のセクシュアリティーや本当の気持ち、
素直な感覚などを同時にオープンにできないだけだからではないですか?

僕はゲイだからストレートの人と愛し合えないなんて考えられないし、
自分がゲイの人しか愛せないなんて決められないし、
恋愛とか友情にそんな名詞より大切な事がまずあるんじゃないかって思うんです。

話しが長くなっちゃいましたが、ナニが言いたいのかというと、
もっとみんながオープンになれるには、人のせいにするんじゃなくって、
とにかく自分次第だって事。
なんだっていい、ゲイでもノンケでもストレートでもバイでも
変態でもデブ専でもガキ専でも(笑)痴漢でもなんだって、
自分の事がわかってると、行動もわかる。犯罪も減るはず。
そんなの当たりの事なのに、考えてない人が多すぎる気がするんです。
一番難しい事。でも一番簡単な事でもあるんです。
だって自分の事なんだから自分が一番 よくわかるはず。
そしたら人の事だって理解しようとできるはずだと思うんです。
でもそんなに簡単に答えなんて出ない自分もいるはずです。
その為には回りや他人の手助けや協力も「絶対に」必要だと思うんです。

そういう事のキッカケにでもなればな、と、
自分の事も人の事ももっとよく知り合えたらな…
と思ってこのページを作る事にしました(笑)。

御意見とか御参加とかバシバシお願いします!


(ウエノ キヨシ)



では最後に今日紹介したTOM ROBINSON BANDの今買える(多分…)CDを載せておきます。
    
『パワー・イン.ザ・ダークネス』     『RISING FREE the best of TRB』
 TOCP6354 東芝EMI (日本盤)       EMI 7243 8 57889 2 5(輸入盤)
          彼等のファースト・アルバム。      「GLAD TO BE GAY」も入ってるベスト。オススメ!








BBS


MAIL ME & US
uenokessak@gmail.com


EXIT




inserted by FC2 system