あの日本人ドラマー率いる話題のバンドが倫敦から衝撃のデビュー!

倒錯のギロチン・シアター
カドリー・トイズ

本誌『狂乱ライフ』先月号でのロンドン滞在記者山本さよこさんのレポートでお馴染み、日本人ドラマー、パディー・フィールド率いる
話題のパンク・バンド、カドリートイズがいよいよリリースされたファースト・アルバムでその全貌を明らかにした。
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GUILLOTINE THEATRE"『倒錯のギロチン・シアター』そのタイトルそのままに、...見よ!この華麗なる姿の彼等を!!
まず目を引くのが真ん中で、ナント真っ白なチュチュを着た白鳥のようなオトコ、シーン・パーセル!(ヴォーカル+ダンス但当)...美しい!!
そしてその隣で真っ赤な女用バレエ・スーツにその身を包み、異彩を放っているのが話題の日本人ドラマー、パディー・フィールド!...妖しい!
後ろのメンバーはそれなりだが、ギターやベースの先に剣のようなモノを付けているのが、なんとも恐ろしい5人組だ!

ではさっそくその話題の衝撃的デビュー・アルバム『倒錯のギロチン・シアター』を御紹介しよう。
普通のバンドならサイド
A,サイドBとするところを「演技1」「演技2」としているところからも伺えるように、
どうも普通のバンドらしくはない演劇的要素が感じられ、期待で胸がふくらむ一方だ。ではさっそくレコードに針を落としてみよう。
まずは一曲目「ポエム...第一章」まるで暗闇の底から響いてくるような無気味なオルゴールの調べに乗せて、少女の悲鳴が闇を裂く!

...電話のコードでのどを絞め妹を殺してしまう...おもちゃのゴムの兵隊がベッドの上に散らばって眠っている...
お前は人形に過ぎないんだ...いやそれとも人形じゃないかもしれない...僕はお前の部屋にぶらさがっている操り人形...

まるであの話題の映画『サスペリア2』を思わせる恐怖感でいっぱいだ。そこにあらわれるのがこの館の主、その操り人形の謎の美少年、
ヴォーカルのシーン・パーセルの...イラッシャイマセと言わんばかりの妖しい囁き!続く『頭脳救済者』で一気にサウンドが爆発し、
この劇場が正気のモノではない事がわかる仕掛けがお見事な恐怖のロック・スピリット!
続くは安っぽい化粧部屋のチェアーの軋みのようなキーボードが色っぽい『薔薇族への憧れ』
...女になりませんか?という、こりゃまぁカンペキな本誌向けの曲!
5曲目の『狂った抱擁』はナントあのディヴィッド・ボウイーとマーク・ボランのロック・ゲイ・カップルによる共作のカヴァー!
もちろん男同士や女同士の抱擁、同性愛の狂気を歌っている。
「演技1」のラストは「幻想のキネマ」。闇の中、幻のスクリーンで蠢く幽霊達と子供達の声のしみ込んだ壁...
「私を一人にしないでくれ」と劇場は叫ぶ...悲劇のスペクタクル・ショウ!
そして「演技2」面のトップ「星のジョー」はそのディヴィッド・ボウイーのジギースターダストに憧れ、彼は僕の友達!と言う少年の幻想。
星のジョー!僕達は良く似ているんだ...
そして終盤、タイトル・チューンの「倒錯のギロチン・シアター」で一人演じる恐ろしいアイドル崇拝の愛の幻想劇に...
ナルシスティックなクライマックスで我々を恐怖の喜びに叩きのめし、
最後の「夢のタイム・ワープ飛行」で...さあ、時を超越した愛の星へ戻ろう!
...と、アノ映画のような素敵なラストでひ現実的な幸せな気分にしてくれる。
さあ、貴男も君も彼も彼女も、このカドリー・トイズ(抱きオモチャ達)の素敵で不思議で恐ろしくて安っぽい、底なし幻覚劇場に今夜もようこそ!
(『狂乱ライフ』編集長。ミスター・セインティス・アップフィールド)
★★★★★

JOIN THE GIRLS 『薔薇族への憧れ』

疲れ切った都会のど真ん中 溝をピチャピチャと水が流れる 風に向かって立ちながら いままでの人生を考える
バスルームにかみそりはない 女学生のブレザーだけが脱ぎ捨ててある マリー・クアントの香水をサッとひとふり ラヂオの
T-REXを聴きながら
もしもし、ホテルにつないでくれ もしもし、それからメルセデスをこちらに回してくれ
「女になりませんか?」「女の世界に加わりませんか?」
モーテルと呼ばれるホテルはあきてしまった プラスチックのカーテン チェリーブランデーを作るのが上手だったワ バスルームの壁の鏡を覗き込む
カナッペや黒ワインの向こうに 描き出されたマンハッタンのドア 私のひざにはドルの札束が投げられる 
「ありがとうマック、楽しかったよ」

GUILLOTINE THEATRE 『倒錯のギロチン・シアター』

僕は役者だった 白塗りをして 「歌舞伎」役者のように微笑んでいた 観客達は時間を忘れていた 今夜はうまくいくのさ 
「今夜は帰りが遅くなるよ」コーラスの中の女王 ブロードウェイの芝居にしか目をくれない 父さんは貧乏だけど、母さんはわかっている
今夜、彼女は君のために死ぬんだということを 今夜は彼女のために泣いてくれるのさ
愛の劇場 血生臭い劇場 人生のギロチン台だ 呼び戻されるぞ、ランの花の間をぬって マチネの最中に
舞台のアイドル崇拝 リヒナーの油で汚れたような瞳をしたヒロイン マンダリンとかいう人の娘を演じていた
今夜は家にずっといるのだろうか 今夜はひとりで泣き明かすのだろうか
ガントリークレーンの明かりが揺れて スターのような年代もののようにうめき カーテンの滑車がすれて怒ったようになる
ひとりの女の子が今夜 僕達のために死んでいった このショーは今夜で最後になってしまった
ロビーにひとり プラスチックのガウンを着た男が立っている このショーのプログラムを眺めている
「今夜は外は冷えるなぁ」 「今夜、表に出かけるやつはいないだろう」
僕は脇役、上流社会のはんぱ者 物事がうまく行かなくなる未来の予言者
今夜はひとりで芝居をしよう 今夜は家に閉じこもっていちゃいけないよ 今夜は大丈夫さ





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